虚々実々徒然草

五十代半ばの男性車椅子生活者の日記です。

残月

外出時マスク着用の義務が増えここの施設の冬が始まる

職員みなマスクに顔を覆ひつつここの施設の冬が始まる

流感の予防接をけふ終へてここの施設の冬が始まる

喪を知らすふみが届きぬ山茶花山茶花梅雨の降り注ぐ午後

奪はれし魂なのか にしぞらにかみふうせんのやうな残月

駅前のベンチに握り飯喰へば足元に来つさすらひ鳩が

祖母の背に負はれて乗りし思ひ出の路面電車が走る豊橋

新しき低床市電に揺られつつ小春日和の豊橋をゆく

小春日の豊橋巡るまつたりと路面電車豊橋めぐる

乗降客をらぬ前畑停留所扉開けざるまま発車せり

福祉学ぶ日焼け少年校庭を我武者羅にわが車椅子押す

福祉学ぶリボン少女よ校庭をおずおずとわが車椅子押す

友からの喪中葉書が卓にあり啓の一字が雨に滲みて

天国に召されし友の幾たりを住所録より消して立冬

愛しい愛しい『彼女(妻)』は、実家に『帰省』しています。寂しさにじっと耐えている俺です。

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