虚々実々徒然草

五十代半ばの男性車椅子生活者の日記です。

マンドリン聴く

なま温き師走の夜や夏蒲団一枚かけてさあ寝ませうか

職員みなマスクに顔を覆ひつつここの施設の冬が始まる

流感の予防接をけふ終へてここの施設の冬が始まる

うた詠むは言葉の遊びさうだらうもつと気楽に呟けばいい

奪はれし魂なのか にしぞらにかみふうせんのやうな残月

友からの喪中葉書が卓にあり啓の一字が雨に滲みて

天国に召されし友の幾たりを住所録より消して立冬

雑念の塊で良し偽らず己がこころを歌に託さむ

君も吾も眠りの神の臣下なり小春日和の午後のひととき

「不愉快な思ひをさせてごめんね」とまづ君に言ひけふが始まる

ひんがしの空に眉月浮びつつ暮れゆかむとす凶多き年

快きプレッシャーなり歌友らの賀状の多く「良き歌詠め」と

産土に歌詠みわれは誓ひたり己が心に素直に詠むと

初春から縁起良きかな吾が引きし御籤に大願成就とあるは

ぽち袋麻痺のわが手に握らせつ八十歳を越えたる伯母は

帰省せしわれに聞かすとマンドリン姪が弾くなり正座して聴く

マンドリンに姪が弾くなる「異邦人」口遊みつつ愉し正月

最高の正月三日ぞま乙女の姪が弾きゐるマンドリン聴く

最近の作品と五年程前の作品です。如何。

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