虚々実々徒然草

五十代半ばの男性車椅子生活者の日記です。

幾たびも

秋天ひとひら浮びゐる雲や母の作れる餡巻きに見ゆ

豆腐屋の喇叭が聞ゆ潮匂ふちとせ小路の夕焼けこやけ

赤とんぼハミングすれば胸熱し母に会ひたくなりて候

タクシーと電車乗り継ぎ九十分やうやく荒古のわが家に着けり

施設でのベッド暮しの代償ぞ五秒たりとも正座保てず

ほほ笑める遺影の父に挨拶す麻痺が進みて横臥のままに

麻痺のわが手を幾たびも擦りつつぽつり母言ふまた会ひに来よ

また、『短歌』を載せました。御感想を御聞かせ下されば幸いです。        

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