2015-12-30 幾たびも 佳久徒然草 秋天にひとひら浮びゐる雲や母の作れる餡巻きに見ゆ 豆腐屋の喇叭が聞ゆ潮匂ふちとせ小路の夕焼けこやけ 赤とんぼハミングすれば胸熱し母に会ひたくなりて候 タクシーと電車乗り継ぎ九十分やうやく荒古のわが家に着けり 施設でのベッド暮しの代償ぞ五秒たりとも正座保てず ほほ笑める遺影の父に挨拶す麻痺が進みて横臥のままに 麻痺のわが手を幾たびも擦りつつぽつり母言ふまた会ひに来よ また、『短歌』を載せました。御感想を御聞かせ下されば幸いです。