虚々実々徒然草

五十代半ばの男性車椅子生活者の日記です。

プラタナス

つぶら実の音符のやうなプラタナスららばいららばい雨に眠れる

渇水の湖いくつ土石流犠牲者生みて梅雨深みゆく

泥水に溺れてゐたりこんな夢現実にゆめ起きないでくれ

ひんがしの空に眉月浮びつつ暮れゆかむとす凶多き年

産土に歌詠みわれは誓ひたり己が心に素直に詠むと

初春から縁起良きかな吾が引きし御籤に大願成就とあるは

帰省せしわれに聞かすとマンドリン姪が弾くなり正座して聴く

マンドリンに姪が弾くなる「異邦人」口遊みつつ愉し正月

最高の正月三日ぞま乙女の姪が弾きゐるマンドリン聴く

君も吾も人魚になりてきらきらと海に戯るわれの初夢

名古屋弁でお久しぶりの「やつとかめ」言ひつつをらむ天国で伯母は

「雨もまた良いもんだね」と笑みて言ふ雨に濡れつつ訪ね来し友

きらめきの天使と雪を詠みにけり雪の怖さを知らざるわれは

どのやうな歌を詠んだら良いだらう迷ふ愉しさわれにまだある

歳晩の施設の門に見送りぬ里帰りする君の背中を

幸せと言へば言へるか仲間らとまた介護士と初日を拝む

自らの衰へばかり呟けり正月二日の電話に母は

電話にて母の愚痴聴くそれのみが施設暮しのわれの孝行

最近の『短歌』作品です。如何。

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